アムリタヨガスタジオ(YOGA FEEL )

小郡市東野のヨガスタジオ

記憶

父が脳出血をおこし入院してから

わたしは大好きだったビールを飲まなくなった。

いつ病院から呼び出されるかわからなかったし

何より、アルコールを飲む気分にならなかったからだ。

 

父が亡くなった日の夜

柩の中で眠る父を見守りながら

夫とビールを飲んだのだが

次の日頭が痛くなった

父が、

かよこ、酒を飲むなと言っているような気がして

それ以来わたしはアルコールをあまり飲みたいとは思わなくなった。

 

私の体質は父に似ている

占いのおばあちゃんや

不思議な力をもっているという黒目がちな青年からも言われたけど

自分自身でそう感じるので間違いない

 

だから、父が私に酒をのむなというのは

そうだ、そうだろう、きっとそうにちがいない、

気のせいでなく、

本当にそういっているのだと

わたしは思っている。

お酒は健康を害する。

ね、お父さん。

 

わたしが選んだ父の遺影に話しかける。

まだ家にある父の骨壺にそっと触れてみる

 

生きている父はもういないのだと

自分に言い聞かせる。

父が座っていた椅子はまだそのままそこにあるのだけど。

 

父がいなくなってまもなく

娘も孫も引っ越していった。

 

娘はいつまでたっても私の娘だが、

きっと孫はここで暮らした記憶をじきに失うだろう。

 

記憶とは

ある時は懐かしく

またある時は

なんとなく悲しいもの。