わたしは、マンション暮らしが快適でした。
海辺の福岡での暮らしは満足で幸せだったのです。
父の遺してくれた家は
もちろん、思い入れのある建物でしたが、
父がなくなったら、売却しようとおもっていたのです。
けれど
実際、父が他界すると
父が設計した家を手放すことに
胸が痛みました。
切なくなったのです。
父はマイホームパパではなかったし
病気で入院しているか、単身赴任をしているかで
父とのよい思いでは、数えるほどしかありませんでした。
だから、
中学生のころ、
新築したこの家が
わたしにとっては、父そのものだったということに
気付いたのです。
もちろん、リフォームしましたが
柱や屋根、階段
父が大事にこだわって施工したぶぶんはそのままです。
この家に住んでいると
父に守られている気分になります。
母は料理が好きです。
買い出しも好きです。
わたしは、母には似ていません。
料理するのは内心面倒だと思っているし
買い出しも好きではないです。
できれば、スーパーで食材を買う時間があるなら
ヨガスタジオにいきたいです。
新鮮な野菜サラダは好きですが
ちぎればよいだけで、
料理とは言えません。
ヨーグルトとシリアルがあれば
生きていけると思っていました。
でも、
母が作ってくれるごはんが
最近はとても美味しくて
母が台所に立つ姿が
とても愛おしくおもいます。
わたしも、
母の味を忘れないように
自分で作れるように
なれたらいいなとおもいます。
