母は数多くの遺言を遺した
母の主治医が
母に余命宣告をするとき
付け加えてこう言った
『自分の余命をしることができる人の方が少ないのです。ほとんどの人が、いきなり死ぬんですよ。
だから、辛いかもしれないけれど、ラッキーだったと思ってください。』
と。
世の中の人の半数より以上の人が
余命をしらず、いきなり死ねのだそう。
病気であっても
たとえば、自分は回復すると思って治療に挑んだり、入院してたりする
その人たちは、余命など覚悟していない方に数えられる。
たとえば、父は余命を覚悟していないままなくなったと思う。
母は素直な性格だったから
そうか、そうかと納得し
それから、わたしにいろんな遺言というか
ミッションを遺した。
遺影はこれ
死に装束はこれ
葬儀のプランはこれ
葬儀の連絡はこの人たちだけ
通夜の夜には自分の親族に寿司を
火葬場では美味しい弁当を
切り花は嫌いだからいらない
花なら胡蝶蘭が好き
ありとあらゆる細かいミッションを私に遺した
わたしは、何一つ違えず
母の言うとおりにした
お母さん
満足してますか?
わたしは、最期まで
良い娘でしたか?
母の声を聞きたいけれど
2度と母の声は届かない
それが、死が別つということ。
死とは
会いたいとおもっても
絶対に会えないということ
だから、会いたい人には
生きているうちに会いなさい。